04/02
Thu
2009
「ある日、桜の森で」
時間軸は「紅梅は夜に香る」のその後です。
短編もいつもの彩雲国とちょっと違った雰囲気でしたね。初期の政治色が強くない時の印象と似ているというか。彩雲国の中で一番御伽噺ちっくな感じ。きっと万里くん(幼い子供)が登場するからでしょう。しかも碧家はいろいろ不思議なモノに気に入られる習性があるっぽいですし。
今まで振り回されてばかりの欧陽純さんのすごい特技が披露されましたね。
歌が上手いことは知っていましたが、“神事の祝ぎ歌”も実力のほんの少しで歌えちゃう凄さ。流石碧家。芸術の天才が集うところですね。
でも彼がカッコいいのは自分の領域を出る決意をして歌梨さんに潔く一生を捧げちゃったとこ。そしてちゃんと家族を守るお父さんをしてるとこ。必ず万里くんを取り戻すと歌梨さんに宣言したところとか凄く好きです。
いつもは歌梨さんの尻に敷かれてるけど、やっぱり大黒柱なんですよね。
今回の秀麗はいつもの元気はつらつが影を潜め、陰な印象が強かったです。
彼女はいつも一人で立っているんですよね。
だから影が濃くて、歌梨さんも万里くんも劉輝が望むような絵を描こうとしても描けない。原因は絵師ではなく被写体にあるから。
そこからどうするかは秀麗自身にしか決めることはできない。
支えたくても劉輝には王の立場を捨てることはできない。周りが手出ししても結局彼ら自身で乗り越えるしかないんですよね。
桜の森で秀麗を見つけたのは邵可だけだったということは劉輝も静蘭もまだまだ邵可には叶わないってことですよね。彼らは自分を捨てきって秀麗だけに尽くすことはできない。秀麗もそれを望んでいない。でもどこまで彼女を見ててあげられるかという問題だと思います。
お父さんを超えるのはなかなか難しそうだけど。
紫苑の章、最後から2番目の見開きイラストはこの短編のイメージにとても合っているのではないかと思います。夜桜がとても綺麗。
たまには難しい話抜きのメルヘンな話もいいですね。