07/31
Fri
2009
最初に前編での付箋をリストアップしておきます。
・旺季が悠舜にやってほしいこととは?
・悠舜を酒楼の2階から見ていた「依頼主」と「彼」
・「98番目の幽霊」の正体
・9号棟のうめき声の主
・首吊りしたのは?
・劉子美って何者?(前編の感想から彼に関する描写を抜き出したものをそのままコピペしました↓)
劉子美
紫州州試第二位及第。
長身。受験生には大変珍しくお洒落。化粧が濃い。でも多分男でいた方がいい。女装しているわけではないので、十歩下がれば男装の麗人に見えるかも。
赤い丸薬と、散薬の薬包を携帯。『どこが悪いのかわかんないんだけど、どこか悪いのは確か』
飽きっぽい性格。料理も裁縫も途中で放り出したりする。落ち着きも無い。
料理が壊滅的に下手。味覚オンチ(?)
枕が変わると寝られない(宿舎に帰るいい訳かも)。
初恋の人は悠舜に似ている(女性か男性かは不明)。好きな人には無理強いせず遠くから見守るタイプ。
年齢不詳(子美の謎)。鳳珠曰く「…………さ、さんじゅうさん……?」
ってことで前回同様話の流れに沿って感想いってみます。
七
姜文仲登場!
若かりし飛翔と鳳珠を心の底から震え上がらせるほどの土気色の顔。陰鬱な声。悪霊と勘違いされるほどの不景気なツラ。終いには『冥土の役人』扱い。
その正体は元白州小役人。飛翔のお父さんがじきじきに10回出向いて頭下げても絶対引き受けず、舎弟が100人家を取り囲んで土下座しても脅してもすかしても頑として『飛翔担当』を断りまくったという、10年前は二十歳の俊英と呼ばれていた人。
飛翔は飛翔でいろいろやらかしてたみたいです。
15歳で暴力沙汰起こしお白州直行便。以後しょっぴかれること数十回。賄賂で釈放されるのを嫌って一年の半分はクサイ飯。あっちこっちで喧嘩三昧。調べてみれば濡れ衣やら他人をかばって出頭やら官吏の汚職に腹を立て暴れていたりするから毎度無罪を立証するのに姜文仲はかなり苦労させられていたらしい。来世までの大恩人だと思っていた彼を牢屋を彷徨ってた幽霊と勘違いしていた。
なんか、やっぱ飛翔も好きだー。
男気あふれるアニキだよね。心の底からイイ人だよね。悪夢組のなかで頼れるアニキ第一位だよね。ほんとに舎弟にしてほしい。
鳳珠×悠舜!?
ちょっと驚きました。鳳珠、積極的な子だったんだね。友達を思って涙するイイ子だね。「慣れてる」って感慨も無く言う悠舜の代わりに「悔しい」って言ってあげられるくらいだからね。
・自殺したのは?→子美ではなかった。
八
9号棟開かずの室へ肝試しに出発!
メンバーは飛翔、鳳珠、文仲。
なぜこの3人かって? 答え.顔で選ばれたから。鳳珠がいれば生きた人間の目玉はつぶれ、文仲がいれば亡者も退散。飛翔は最強の生きた厄除けを手に入れた(by飛翔)。
……確かに。この二人連れてれば肝試しなんて……。
鳳珠vs文仲でどちらがましな顔かって争ってたけど、どっちもどっち。トントンだと思います。
九
肝試し開始。
鳳珠は弟キャラなのね。兄弟が居たら末っ子なのね。マジ可愛い。
多分兄弟はいないし、友達もいなかったからこうやって引きずり回されて素が出るのって初めてだろうなぁ。本当に友達できて良かったね。
・9号棟のうめき声の主→やっぱりアノ人だった。
来俊臣登場!
黒州の小役人から天候。黒州主席の元寺男。このころから変わらず人を棺桶の道へ引きずりこむ。
そして鳳珠は引きずり込まれそうになった。どこをどうやったら!?飛翔の言うとおり、鳳珠はちゃんと見てないと就職難になったらイケてる寺男になりかねない! そんなのイヤーっ。
でも鳳珠は棺桶の中が果てしなく似合ってると思う。そこだけは俊臣さんに同感。
黒蝶を読み返してみたら、黎深にかなり恐れられている俊臣さん。鳳珠のことには触れていませんでした。てか、鳳珠はあの誘い文句で乗ってたじゃん! まあ仕官したあとに悠舜とともに顔を引きつらせるくらいの何かがイロイロ起こったんでしょうね。
物語の核心へ迫る。
年長で経験豊富な文仲と俊臣は子美の謎にぐぐいと迫るヒントをたくさんくれました。
赤い丸薬と、散薬の薬包を携帯。『どこが悪いのかわかんないんだけど、どこか悪いのは確か』
飽きっぽい性格。料理も裁縫も途中で放り出したりする。落ち着きも無い。
料理が壊滅的に下手。味覚オンチ(?)
枕が変わると寝られない(宿舎に帰るいい訳かも)。
これらは症状からくるもの。そして30代後半ならギリギリありうる。
戦の後遺症ですね。
人を殺すのが正義だった時代を生きていた人が、急に平和な世界に溶け込めるはずが無い。そこから来た精神病。
……平和な世の中しか知らない人には分からない病気ですよね。
きっと日本の戦後もこういうひとがたくさんいたと思います。その人たちを忘れてはならない。
・「98番目の幽霊」の正体→多くの兵士たち。平民出身だったり国試に及第して欲しくない人たちを暗殺する元兵士。
国試の暗闇
国試は今や裏の一大賭博。誰が及第するかによって有利不利になる貴族や官吏達が兇手たちを雇って及第の可能性のある人たちを葬る。兇手たちは巡回の警邏や武吏、受験者に混ざっていることも。
前編で悠舜に殺気を放っていた警邏のお役人も多分そうでしょうね。
嫌な世界。
彩雲国って最初はこんな暗闇あまり出てこなかったけど、最近こういうの多いですね。物語の深みは出るけど、ちょっとラノベとしては深すぎかも。
十
・悠舜を酒楼の2階から見ていた「依頼主」と「彼」→「彼」は兇手の劉子美。「依頼主」はどこかの大貴族
・劉子美って何者?→元兵士。州試及第者の名を語る偽者。
・子美の初恋の人→暗殺対象の将軍の娘だった。将軍を殺したところを見られたため止む無く処分した。この出来事が心の傷になったんでしょう。
悠舜vs子美ガチンコバトル!
悠舜男前すぎてカッコいい!! 見ず知らずの他人、しかも相手は自分を狙う兇手なのに、彼の病を治すために密かに動いていたなんて。
勘もいいし、出来すぎじゃないですか?それだから悠舜なんですけど。
一応用心棒の黎深は何にも出来なかったけど、それが普通じゃないですかね? 護身術は身に着けていても、兵士相手に実戦経験も無いのに戦えませんて。
ここで皇毅がイイとこ全部掻っ攫いましたね。
・旺季が悠舜にやってほしいこととは?→全州試を主席で派手に及第。平民出身で格好の暗殺対象に。それを狙う貴族や官吏を根こそぎひっ捕らえて排除。つまり囮だったんですねー。なんだかんだ言って一番危ない目にあってるけど、旺季の頼みならやるんですね。
十一
悠舜、まさかの殿試すっぽかし。
そしてまさかまさかの悠舜vs戩華王!
悠舜が人間くさく怒りを露わにするのって多分先王しかいないですよね。
感情を全部どこかに置いてきたのかと思ってたけど、ちゃんとあるじゃん。出ないだけで。
きっと本気の怒りをぶつけられる相手って先王以外にいないんだろうな。
先王はちゃんと「98番目の幽霊」たちのことを分かっていたと思います。自身がまだ戦争の途中だからなおさら。彼らの痛みも分かってるけど、それを出さないのが王。
ちゃんと戦争被害者が救われる世を築いてくれると思います。戩華じゃなくても劉輝がね。
十二
劉子美は劉志美(物語に出ていた子美)の戦仲間だった。
州試及第した後重圧に負けて自殺したそうですが。それだけ国試って辛いものなんだね。今までの国試がちょっと特殊な例(悪夢の国試組、絳攸・楸瑛組、秀麗・影月・龍蓮・珀明組)だったから明るくなってただけで。自殺するくらいの重圧を押しのけてこそ真の官吏が生まれるんですね。
俊臣のイケてる読経に吹きました。子美さんも天国で大爆笑のことでしょう。
志美はまた本編でも出てきて欲しいな。きっと立ち直ってくれたと信じたい。
黎深が最後頑張ってましたけど、今回空回りばっかりでしたね。哀れ。
最初読んだときにはあまりにヘビーだったのでちょっと沈みましたが、前後編と分けたわりにすっきりまとまっていたので重さ半減。やっぱり悪夢組は強烈ですね。あの時代があるから今の彼らがあるわけで。
これからも彼らを応援したいです。